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さよなら桃源郷(銀魂:銀時夢)

第4章 あたたかな 〜銀時篇〜


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 それから数週間の期間で、万事屋の元に荷物が届く。届いた箱は靴箱程度の大きさであり、重さも厚い辞書一冊分ぐらいだろうか。宛名は銀時であり、送り主の名は辰馬である。それを確認すれば、銀時はコソコソと未開封の箱を持って公園へ向かう。

 ベンチに座り箱の中を漁れば、そこには6種類の薬が入っていた。これには銀時も驚く。地球では絶対に手に入らない薬が6個もあるのだから当然だ。普段はうざくて、アホで、もじゃもじゃな辰馬でも、これほどの数が送られてくれば彼の商いの腕を見直すしかない。薬瓶に直接貼られているラベルは異星語で表記されていたが、親切にも日本語の説明書が共に同封されていた。一字一句読み逃さないように、銀時はしばらく紙と睨めっこをしていた。

 長い時間を掛け、銀時はようやく一つの薬を選んだ。それは6個の薬の中で最も小さく、最も量の少ない物である。しかし、説明書を読む限り一番効果の強い薬でもあった。他の5種類は抜群に子宮に効く。銀時がまさしく求めていた効果だ。けれど性器の治療以外には使えないのが難点である。別に外傷の薬を買えば、また途方もない金額を支払わなければならない。それに比べ、銀時が選んだのは値段が他より張るものの、子宮も外傷も共に治療できる塗り薬であった。

 取り出した瓶と説明書を懐に仕舞い、他の薬は未開封のまま箱にまた収めた。その箱を持ち、銀時が次に向かったのは郵便局である。使わない薬を辰馬に送り返す為だ。テープを借りて職員に後を任せれば、銀時は最後にもう一カ所だけ別の場所へと足を運ぶ。それは銀行だ。薬に指定された金額を辰馬に送金する為である。高額の薬はやはり半端な値段ではないが、万事屋総出で集めた資金で払えたのはありがたかった。

 普段はパチンコなどに無駄金を使ってしまう銀時。食事も出来ない状態に陥り、新八や神楽に怒られるのも、菊と揚羽が来る前には割と日常茶飯事な出来事だった。しかし、いくらギャンブルに身を投じよとも、いくら持ち物が差し押さえにされても、銀時は決して借金だけはしなかった。遊ぶ金は存分に使うが、妙な所で銀時はルールを設けている。そのルールを破る事なく薬を購入出来たのは、幸運だった。後は薬の効果を確かめるだけである。
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