第3章 あたたかな
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「別に子供達を追い出す必要はなかったんじゃない。傷に薬を塗るぐらい、襖を閉じれば誰にも裸は見られないわ。」
薬が全身に塗り終わり、着物を軽く肩に羽織っただけの菊は礼を言った後にそう銀時に言った。大人の裸を子供達に見せたくなかったのならば、単純な話、襖で視界を隔てれば良いだけだ。だか銀時はわざわざ他の者達を新八の道場に行くよう指示した。それを疑問に思い、菊は尋ねたのだ。
「…宮。」
「何。」
銀時はらしくない小声で何かを呟く。答えを逃すまいと菊は聞き返した。
「お前の子宮の中にも、塗るつもりだったんだ。」
先ほどよりもしっかりとした声で、銀時は菊をまっすぐ見据えて再び答える。突然の話しに、菊は唖然とした。
「薬を手に入れる時、試しに子宮にも効くか聞いてみた。そしたら運良く使えるってよ。」
その後、銀時は分かりやすく丁寧に、新たな薬の特徴を菊に教えた。全身に塗られた傷がもう癒え始めているように、この薬は物理的に付けられた傷を何でも治す。それは「塗る」事が出来る所であれば女性の性器にも言える事だった。通常ならば傷のある箇所のみに塗るが、菊の場合、恐らく子宮全体にダメージを受けている。そうなれば「達する」ことでしか届かない奥の部分も薬を塗る必要がある。
だから銀時は続けて提案したのだ。自分の指に薬を塗ってそれで菊を絶頂に達っさせる。愛液と混じらせ、子宮全面に薬を行き届ける事で、大半の傷は癒える筈だと銀時は主張した。自分が名乗りを上げるのも下心からではなく、唯単に銀時の指の方が長いので奥まで届くからだと言う。その上、菊が自身で自慰行為を行うよりは、他人に任せる方が遥かに菊の負担が減るのも事実である。いくつかの理由を述べ、銀時は菊の返事を待った。