第2章 そして貴方と出会った
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正直、銀時は少女の洞察力には恐れ入っていた。菊が己の『母』だと語った後も会話には続きがあり、そのうち揚羽は月詠と菊に関して思った事を述べていた。
『月詠さんに会って思った。きっとこの人は、皆を救いたいんだろうなって。吉原で不幸になる女の人がいたら嫌だって思ってるんだと思う。きっと姐さんもそれを知ってる。でも、死んじゃった遊女達を差し置いて、今ここで姐さんが幸せになるのは不公平じゃないか悩んでるんだと思う。そんな事、全然ないのに。今まで死ぬ思いで生きてきたんだから、これから幸せになってもバチなんて当たらないのにね。』
『へいへい、そうかもな。』
ガキの割に大人びた考えが出来ているとは思ったが、怒鳴る菊の声を障子越しに聞いた銀時は、揚羽の発言を本気に捉えなかった。しかし少女の次の発言は軽く流せる物では無かった。
『だからお兄さん、お願い。姐さんを幸せにして。』
『は?』
意味が分からない、という表情をありありと銀時は浮かべる。先ほどから聞こえてくる菊の文句は吉原の問題が大半であり、菊の幸せ不幸せは自分には関係ないと断言した。