第2章 そして貴方と出会った
『んなもん、他の奴に頼めよ。つーか幸せにしてって何。俺ァせっかく命助けてやったのに、余計なお世話扱いだぞ。迷惑がられてる奴を何でわざわざ幸せにさせなきゃいけねーんだよ。』
『じゃあ死のうとした姐さんを生かした罰。生きるつもりの無かった姐さんを救った責任ね。このままじゃ姐さん、私を養う為にまた危ない仕事に就きそうなんだもの。拾ったんだから最後まで面倒みなきゃ駄目でしょう。』
『おめーのねーちゃんは捨て猫かよ。』
このまま冗談で流そうかとも考えたが、銀時の中に何かが引っかかっていた。どうしてこうもこの娘は自分に大事な姐を任せようとするのかが分からないのだ。見た目や態度からして銀時はチンピラに近い事を自覚している。任せるのならもっと頼もしい人を選べば良いものを。
『…何で俺に頼むんだ。』
そんな事、ねーちゃんが嫌がるかもしれねぇが、吉原(ここ)の連中にでも頼めるだろ。
訝しげな視線を送りながら、銀時は少女に問うた。そんな彼をみて、揚羽は心底おかしそうに笑う。そして秘密を握った悪戯っ子のように、そのままニヤけた笑みを携えながら銀時へ答えを返した。