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さよなら桃源郷(銀魂:銀時夢)

第2章 そして貴方と出会った


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「別に良いだろ。どうせあの火事で一回は命捨てたようなもんだ。それを拾った俺が貰って何が悪い。貰うつっても万事屋で雑用手伝わせるだけだ。普段はメガネが雑用係だけどよ、あいつにはもっと外で力仕事してもらわにゃこっちに金が入んねぇの。だったらもう一人や二人、食い扶持が増えてもそれで新八が稼ぎに出かけりゃあ、なんとかなんだっつうの。」

 非常に説得力の無い演説だった。たとえどんなに万事屋が仕事に出向いても、普段の銀時のやる気のなさからすぐに家計が火の車になるのは目に見えている。その上に子供一人ではなく、一気に二人も養う事になるのなら、それこそ明日を生きれる保証が無い。万事屋事情を何も知らない菊ならば流れに任せて頷けるかもしれないが、決して暮らしが楽ではない事を知っている月詠は賛同できなかった。

 しかし、月詠の必死の静止は銀時に適当に跳ね返される。普段、回避出来る面倒事は自分から進んで関わる事はないというのに。月詠は予想外の銀時の行動に目を疑った。

 家事と聞き、堅気の人間がどういう生活をしているか皆目検討が付かない菊も不安を露にしたが、一から教えると約束した。万事屋に引き入れる為、菊に歩み寄った銀時は、火事の際に菊に掛けた己の着物を彼女の肩に羽織らせ、そのまま抱き上げる。いきなりの事で菊も月詠も驚いたが、そんな二人の反応を軽く受け流し、万事屋へ向かう為に部屋を出て行った。

 これ以上女達が物言わぬよう、銀時は足取りを早めた。廊下にいた揚羽も、小走りで銀時の後を追う。
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