第2章 そして貴方と出会った
「当たり前だ。あの子の未来が地上で保証されるなら、私が朽ち果てようとも構わない。」
「だから止せ! そんな事をしてもぬしが苦しいだけじゃ。未来ならわっちが保証すると何度も言っておる!」
「ツッキー、ちょっと黙ってろって。」
何故こうも強情なのか。月詠はこれ以上に菊が苦しむ未来を阻止したかった。そんな想いで、危ない雰囲気に持って行く銀時に楯突く。
「銀時、ぬし、何のつもりじゃ!」
「良いからちょっとだけ黙っとけって。」
しかし銀時は月詠の関与することを許さなかった。そして珍しく真剣な表情で菊に一言告げる。
「あんたの依頼、引き受けてやる。」
それを聞いた月詠は言葉を無くした。逆に菊は依頼を受けた銀時に安堵し、堅かった表情を微かに和らげた。
「…ありがとう。金は、必ず渡す。」
「金はいらねぇ。」
「…は?」
今度は菊が大いに拍子抜けする番だった。
「金はいらねぇ、っつたんだよ。」
「銀時、何を考えておる。」
「別に。ただこれ以上、稼ぐためにボロボロになってもこっちが目覚め悪ぃだけだ。けど、無償じゃねえ。ちゃんと代わりのモノは貰う。」
代わりのモノ、と言われ菊は身構える。果たしてそれは自分で手に入れられる物なのだろうか。
「…何が望みだ。」
恐る恐る銀時に代償を訪ねる。
「お前の命、この俺が貰う。」