第2章 そして貴方と出会った
「そ、報酬さえあれば何でもする何でも屋だ。」
「なんでもか。」
「命のやり取りする危ぇ依頼はお断りだ。あと裏の仕事もな。」
「まっとうな依頼で、金さえ払えばやってくれるんだな。」
「あー、まあな。」
質問を繰り出す菊に、なんだか面倒な事が起こりそうだと銀時は会話の雰囲気で分かってしまった。そしてその勘は残念ながら外れなかった。
「ならば頼む。揚羽を、地上に出してくれ。」
案の定、面倒事が発生する。側で聞いていた月詠も、これを聞いて口を挟む。
「ぬし、そんな依頼をしなくとも吉原の皆で面倒はちゃんと見れる…」
「黙れ、阿婆擦れ風情が! 揚羽には今後一切、吉原には関わらせない。こんな女の地獄に、あの子が生きる事を許さない!」
清太のように吉原で育てられている子供は僅かながらにも居る。そして子供達は皆すくすくと育ち、大事にされている事から月詠は依頼などしなくとも育児は出来ると提案したかった。しかし言葉を切られ、その上に吉原を罵られた月詠はついに堪忍袋の緒が切れてしまった。先ほどまで長い間、菊を宥めていた苦労もあり我慢の限界だったのだ。
「口を慎め! 吉原はぬしが思うような所ではない! ぬしの知るように、体を売る商売であるのは確かじゃが、ぬしと違って皆それぞれ誇りを胸にこの地で生きておる!」