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さよなら桃源郷(銀魂:銀時夢)

第2章 そして貴方と出会った



 馬鹿な考えをしながら、次第にはっきりとした視界で周りを見回す。どこかの和室に寝かされているらしい。遊郭で与えられた部屋よりも四倍は広く、置いてある姿見や掛け軸も目にした事の無いほど上等な代物だった。部屋の明かりは蝋燭ではなく電気。随分と金を持っている人が所有している場所なのだろう。

 寝かされていた私の結われていた髪は解かれ、着ていた着物も上質な物に着替えさせられている。ボロ雑巾みたいな着物とは違い、新品と思われる淡い浅葱色に目を見張った。枕と敷き布団も羽毛をたっぷりと詰めているらしく、柔らかくて心地よい。うる覚えだが幼い頃に聞いた、一夜にして姫になった何処かの童話の娘になった気分だ。

 とりあえず自分の置かれている状況をもっと把握する為に、私は掛けられていた白い着流しを適当に放る。所々、体が軋むのを感じながら上半身を上げた。敷き布団の上に座り、己の手や足をよく見る。妙齢の女にしては小柄で肉の足りてない体は、包帯だらけだった。丁寧に手足の指一本一本まで綺麗に巻かれている。顔や首などの見えない部分も触って確かめてみるが、やはり新古関係なく傷という傷が付いている箇所は治療されているらしい。まったく。どうせ仕事に戻ればすぐに傷が付くというのに、余計な事を。そう思っていれば、部屋の襖が静かに開いた。
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