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さよなら桃源郷(銀魂:銀時夢)

第8章 子の心、親知らず


「女はね、子供を産んだら『女』として見てもらえなくなるの。家族なのよ。銀さんに『ピーーー』されただなんて聞いたから、恋敵になると思ったけど気にしすぎたようね。ライバルじゃないなら自己紹介も安心して出来るわ。初めまして、始末屋をしている猿飛あやめよ。皆からは『さっちゃん』って呼ばれているわ。宜しく」

「え、ええ、こちらこそ。私は菊よ。この子は揚羽」

 ふん、と鼻をならしながら自己紹介をしたあやめに、菊は戸惑いながらも自分と揚羽の名を教える。けれど何か気になる事があったのか、菊はそのまま目を泳がしながら銀時の袖を引っ張った。そして彼に不思議そうに尋ねる。

「……ねえ、さっきからあの人が言ってる『ピーーー』って何?」

「ばっ、忘れろ! んな放送禁止用語わすれとけ!! 頭から消せ!!」

 銀時は菊の両肩に手をのせて大きく彼女を揺さぶった。物理的な揺さぶりで菊の記憶が消える訳がないのだが、それでも彼は心情的に行動せざるを得なかった。

 そんな菊と慌てる銀時のやり取りを見て、あやめは驚く。あやめが何度も口にしてる単語は、何も専門的な単語ではない。大人であれば知っている、ごくありふれた下ネタだ。それを元遊女であるはずの菊が知らないのは信じがたい話だったのだ。
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