第8章 子の心、親知らず
「ちょっ、言った側からコレだ! その言い方は止めろって! 違ぇからな絶対! アイツは俺のストーカーなんだよ、変質者なの!」
「すとー?」
「……俺に付き纏ってる迷惑な奴ってことだ」
ストーカーの観念をいまいち理解できていないようだが、詳しい説明は後にしようと銀時は心に決める。頭をポリポリと掻きながらげんなりしていれば、ずっと静かにしていた揚羽が銀時に質問を投げかけた。
「銀兄さん、この人だあれ?」
だが銀時が答える前に、あやめは揚羽を見て急に目の色を変えた。そして今まで敵意を剥き出しにしていた態度は消え、悟ったような声で喋りだす。
「あら、貴女コブ付きなのね。何よ、だったら気にする事なんて何もないじゃない。貴女にそんなに大きな子供がいるんなら別にどうって事ないわ。」
「忍者のお姉さん、それどういう意味?」
いきなり余裕のある態度で幼子を見据えるあやめに、揚羽は言いようのない不快感を覚えた。子供がいる、いないで何か変わる事でもあるのだろうか。あやめが言葉に込めた真意を探るために、揚羽は初対面のくノ一に問うた。