第7章 外の面(とのも)
残念に思いながらも、万事屋に帰ろうと方向転換をした銀時の目にある場所が映った。それは、風化した「餡泥牝堕」の看板を掲げた建物だった。店自体は無く、ただ「貸」のポスターが窓に大きく張られている。あれほど繁盛していたというのに、今はその面影すらない。恐らく「魂平糖」との勝負で負けたのが原因で、かぶき町には店が構えられなくなったのだろう。
今は建物の大きな入り口は開放されており、中には沢山の長椅子が置いてあった。どうやら次の店が入るまでは憩いの場として利用出来るらしい。犬の散歩して来た人。ただ一息入れたい人。「魂平糖」で買った団子をゆっくり食べたい人。様々な者達が集まっているのが見える。人も沢山いるようだが、空いた長椅子も十分あるようだ。
「あー、オメーはあっちの長椅子にでも座って待ってろ。」
座る場所があると分かれば、銀時はすかさず菊に長椅子で待つように言う。
「私も一緒に並ぶわ。」
しかし菊は銀時に悪いと思っているようで、一緒にいる事を伝える。
「いーから座ってこいって。いくら軽くても俺ァお前を背負って帰るなんてゴメンだからな。」