第9章 TNTになった俺と傷つかない少女9
だがまぁ俺は、誘拐もしたし、教唆犯にもなり得る。なんなら研究所も一つぶっ壊したみたいだから、俺に罪がないとは言い難いだろう。
「この子がこんなに言うなんて……あなたは、ミウを保護して下さった方ですか?」
ミウの母親が俺にそう訊ねた。
俺は困惑しながらも頷くと、母親は警官に取り合って、この方は誘拐犯ではないと説得し出したのだ。
「いやいや、俺は別に……」
言いかけたが、ミウの母親は俺の手を払うようにして説得を続けた。なるほど。この子どもにしてこの親はありなのかもしれない。
結局、俺はミウの母親の説得のおかげで事情聴取はなしとなり、何事もなく交番を出た。
「本当に、ありがとうございました」
ミウの両親は改めて礼を言い、頭を下げられた。そんなこといいですってと言っても、しばらくは頭を下げ続けていて俺は少し困った。
「実はこの子、少し特殊でして」母親が、ミウの頭を撫でながらぽつんと切り出した。「私たちに似て、傷つかないんです」
「え?」
「あ、気づきませんでしたか?」
「いや……」
まさか、ミウの能力は親譲りだったとは。親子揃ってチーター軍団だったとは、羨ましい。
「君も、何かしら能力があって一緒にいたんじゃないかな」今度は父親が話しかけてきた。「ああ、事情は聞かないよ。君にも色々あるだろうし」
「……うっす」
俺が小さく会釈すると、ミウが思い出したかのように走り出し、俺の前に来るなり問いかけた。
「メン、もう会えないの?」
「……かもなぁ」
「ええ、やだやだ!」
泣きそうになった顔。俺は膝をついてミウの頭をぽんぽんと撫でた。