第9章 TNTになった俺と傷つかない少女9
「これね、メンにあげる」
「俺に似合わないだろ」
「似合うもん……」
さっきから力のない返事しかしないミウに、また泣かれるんじゃないかと面倒に思って、俺は分かったとその花輪を受け取った。
「ありがと、メン!」
すると極端なもので、ミウは明るく笑ってこちらを見上げた。初めて会った時に見たあの笑顔と同じだ。俺はその笑顔を見てどこかで安堵した。
「ミウ……?」
そうこうしている内に、女性の声が交番に入ってきた。ミウはやっと、俺から離れた。
「ママ!」
「探したんだぞ、ミウ!」
次には父親らしき人も入ってきて、駆け出したミウを出迎えた。感動の再会って訳か。
「では、事情聴取をします……」
「あ、待って!」
俺が警官に呼ばれて中に入ろうとしたところ、ミウが呼び止めた。
「あのね、メンはいい人なんだよ! 肩車したり、お手手繋いだりいっぱい遊んだの!」
それは、六歳の子どもなりに考えた「逮捕しないで」という言い方のようにも聞こえた。