第9章 TNTになった俺と傷つかない少女9
約束通り、俺はミウを肩車して歩き始めた。確か肩を撃たれたはずなので痛むかと思ったが、俺は爆発すると怪我が治るらしく、なんともなかった。
それから俺たちは、すっかり夜となった街を堂々と歩いてみた。周りは誰も俺たちを気に止めてはおらず、そのまま交番らしきところを見つけてそこに入った。
「あのー、迷子みたいなんすけど」
と俺が警官に説明し、調べてもらったところ、ミウは一年前に捜索願いを出されていた子どもだったらしいと判明した。
当然俺が誘拐犯として疑われた訳だが、ミウがすっかり懐いてしまい、無理に剥がそうとすると泣くので、まずはミウの両親が迎えに来てから事情聴取をするということになった。
俺は警官が奥に行ったのを見計らい、腕から離れないミウに小声で囁いた。
「おい、わざわざ力まで使ってくっつくなよ」
「んーん、離れたら、メンどっかに行くもん」
「パパとママが来たら離れろよ?」
「…………うん」
随分間があった。これが映画なら、泣けてしまえるシーンなんだろうな。
俺が泣く訳にはいかないと思っていたら、やがてミウがゴソゴソと何かをやり始めていたことに気がついた。なんだ、それは……タンポポの花輪?