第6章 MEN豚目戦
俺はただの豚だ。しかも、サイコパスで意地汚い性格をした。
俺の手癖はもっぱら飼育カゴの装飾だった。最初は物珍しげに俺を飼う人間がいるのだが、この手癖が面倒になって返却する人が続出。シンプルも悪くはないが、材料があると装飾をしたくなる。MOB販売店の主人はそんな俺をあまり気にしてはいないようで、今日も俺に材料を渡してきたから木の置き物を作ってやった。いつもゴミとか作っていたから、これには主人も気に入ったようだ。
ある日のこと、あのよく来る常連客が俺の目の前にやって来て驚いた。見たところ人間の女なのだが、喋り方や仕草からその丁寧さがよく伝わってくる。女は目の前でこう言った。
「MOBを飼うのも、最後にしようかと思ってて……」
主人は、それは寂しくなりますな、なんて言っていたが、内心金づるがいなくなってショックなだけなんだろ、と心の中で毒づいてみる。こっちの言葉は人間には伝わらないから、言いたい放題だ。