第3章 ぼんスケルトン目線
人の声がするかと思ったら、足音も近づいている。どうせ今日も誰も俺のことを見ない。なぜなら紫のカーテンが俺の飼育カゴを覆っているからだ。
「このカゴは誰がいるんですか?」
「そこは手乗りスケルトンがいるんだが……」
「へぇ、手乗りスケルトン!」
そんな会話が間近で聞こえてきて、まさか俺の話をしてる……? と俺は寝床から体を起こした。
「だが、陽の光に弱くてね。日中はこうしてカーテンを掛けているんだよ」
「開けてもいいですか?」
「あ、ちょっと待ってな。すぐに窓のカーテン下ろすから」
シャッと、ブラインドカーテンを下ろす音が聞こえた。俺は寝床から出ようかどうしようか悩んでいる内に、店主がいいよと言ってきたのを合図に、人間の大きな指先が俺の飼育カゴにかかっているカーテンを開けた。
店の中は暗くなっていたが、それでも眩しくて俺は目を細めた。と、その視界に女性の顔が映り込んできてはっとした。