第11章 MEN豚目線2
俺は珍しく早起きをした。飼育カゴに掛かってる鍵なんて、俺が前々から仕組んで置いた仕掛けで容易くロック解除。
飼い主が睡眠中であることを確認し、俺は風呂場へ忍び込んだ。
そう、俺がここにこっそり来た理由は、この風呂場の装飾を施そうとしているからだ。
風呂場というのは、どうもシンプルで味気がない。飼い主はなんでここの装飾をしないのだろうといつも不思議に思っていた。
ということで早速装飾のお時間だ。凹凸のなさは気になるが、俺のこの小さいMOBの手じゃ無理だから、色でも加えて華やかにしようと思う。
染料はここに仕舞って持ってきたから……あ、忘れてきた。急いで飼育カゴから持ってこないと……と踵を返した時に、俺は足を滑らせた。
「あ”っ」
変な声が出た、と思った時には俺は浴槽の中に落ちてしまった。浴槽に水が張っていなく尻もちはついたが、怪我はない。怪我するのは俺は構わないんだが、飼い主がやたら心配するから気をつけなくては。
まぁそんなことより、早く浴槽から出なくては、と前足を上げて気がついた。この浴槽、なかなか高さがある。