第10章 ベビーホグリンおんりー目線2
俺の新しい飼い主は、人間の割には細い腕と長い髪の毛をしている女性だった。
いつでも逃げ出せるようにと、オリの中の調査をし、外側から掛かっている鍵の仕組みを理解した。あとはこの人が何かしてきたらすぐに脱走が出来るように身構えていたが、いつも通りご飯を与えられ、よく分からない話を聞かされ、そして時々その人のご機嫌そうな鼻歌を遠くで聞くばかりで拍子抜けしていた。
俺をなんでここに連れてきたのかさっぱり分からないが、ある日その人が意味深そうな顔をして俺を見下ろし、ゆっくりと鍵を開けたから驚いた。それからご飯を手の平に乗せた?
一口食べたら毒かどうか分かるだろうと食べてみたが、いつも通りのご飯だった。お腹も空いていたからもう一口食べていると、その人がもう片方の手で俺の頭を撫でてきた。こんなことをされたのは初めてだ。いいや、昔はよくされていたのかもしれないけど、思い出すことは出来ない。
俺は、気づけばその人の手の平にあったご飯を全部食べ切っていた。
「全部食べていい子だね」
と言われると、素直に嬉しい。食べただけなのに褒められるなんて、ちょっと変だけど。