
第9章 牛おらふくん目線2

「今、みんなのご飯も準備するからね」
やったぁ。
僕は嬉しくてまたモ〜って鳴いた。すると飼い主さんも嬉しそうに笑うから、僕はもっと嬉しくなるんだ。不思議だよね。
嬉しい時は飼育カゴに戻って、僕は空っぽになったバケツに牛乳をたくさん入れる。飼い主さんはすぐ気づいてくれるからいっぱい撫でてくれた。
「ご飯食べよ〜」
と飼い主さんが呼んだから、僕は自分のお皿に向かった。そこにはベビーホグリンおんりーがもう座っていて、隣でぼんスケルトンさんがうとうとしながらご飯を待っていた。雪だるまドズルさんがいないから、また何かやっちゃって飼育カゴに引きこもっちゃったのかな。
「あれ、MENがいない……?」
そういえば、そうだ。前に寝坊したことがあったけれど、今日は飼育カゴの中にはいないみたいだ。
「みんなは先に食べててね〜……あ、ぼんスケルトン、こんなところで寝ちゃって……」
飼い主さんはぼんスケルトンさんに布団を掛けてどこかに行った。僕は雪だるまドズルさんのところにご飯を持って行った。雪だるまドズルさんはやっぱり、飼育カゴの奥の方でうずくまっていた。
「ドズルさん〜、ご飯ですよ〜?」
と僕が言うと、少しだけ顔を上げて僕の方を見た。
「僕はもう、だめなんだ……」
雪だるまドズルさんの声はとても沈んでいる。
「そんなことないですよ! だって、飼い主さんは怒ってないでしょ?」
「だけど、僕は……」
「本当にドズさんはだめなんだから」
と割り込んできたのは、そこで寝ていたはずのぼんスケルトンさんだ。そんなことない、と僕が言おうとした時、ぼんスケルトンさんが手を伸ばして笑いかけた。
「一緒に食べようよ、ドズさん。一人じゃ寂しいでしょ」
「ぼんスケルトンさん……」
そうして、僕とぼんスケルトンさんは、雪だるまドズルさんと一緒にご飯を食べることにした。戻ってくると、ベビーホグリンおんりーも待っていてくれたみたいだ。
「あ、みんな仲良しだね〜」
戻って来た飼い主さんが、みんなの頭を撫でて回りながら抱えていたMEN豚を下ろした。僕がこっそりどこに行っていたのか聞いてみると、風呂にいたとだけ答えた。
「それ、ズルない? 飼い主さんとお風呂に入ったなんて」
「お風呂くらい誰でも行けますねぇ」
僕の言葉にMEN豚はそう言ってご飯を食べ始めた。今度は僕もお風呂に連れて行ってくれるかな。
