第2章 出航
「そんで、ここをこうして…」
「ふんふん」
朝ごはんを食べ終えたわたしはペンギンくんたち先輩クルーから艦での仕事、海賊としての立ち振る舞いを教わっていた。
今は縄の結び方の種類を教わっている。
けれど、どの仕事も手首の傷に障ると良くないから、ということで実際にはあまり手を使わず、使うとしたら念力を軽く使うだけ、に留まっている。
「やってみる?」
「うん」
ペンギンくんに渡された縄を見せてもらったように真似て、力が要りそうな所は手でするより力を加えれる念力で締める。
「ふんッ───!」
「こらこらこらこら。そこまで使わなくていいって。形とかが分かれば今はいいんだから」
「はっ…!つい!」
「ふははッ」
天候がいい事もあり、艦は浮上している。
わたしは帽子がないこともあるけど、今はハートの海賊団以外誰もいないから頭は何も覆われておらず、太陽に反射する髪をさらけ出している。
海風が髪を梳くように吹いて涼しい。
「リアって髪ずっと短いの?」
「ん〜最近はそうかな。けど前は長くしてたよ。結んで纏めて帽子に入れるようにしてたし…子供の頃とかも結構長かったんじゃないかな」
「へぇ〜」
と、話していると洗濯物が沢山入ったカゴを抱えたクルーたちが甲板に出てきた。
「リア〜、これ干すから手伝ってもらえる?」
「は〜ぃ、じゃなくてアイアイ!」
「「おお〜」」
自分で気付いて言い直したら周りからパチパチと拍手が起こった。いやあ、それほどでも……
縄の結び方講座から洗濯物干しの講座へと移る。
「これをロープに通して、あそことあっちの高いところにロープの端を結んで干すから……」
「あ、じゃあわたし、念力でロープ浮かせるのと上から引っ張るのしようか?」
「めちゃくちゃ念力使うじゃん」
洗濯物を持ってきた内の1人、クリオネくんと話しているとペンギンくんが指摘する。
「うん。今まで使わないようにしてた分、出来ること増やして使いこなしたいし鍛えたくて。早くわたしもみんなと同じツナギ着たいし」
トイレはしにくそうだけど、という言葉は飲んだ。イッカクちゃん、不便じゃないのかな?いつか聞いてみよう。