第2章 出航
「てかリア、ごはんそんだけ?」
ペンギンくんがわたしのご飯を指す。
「うん。朝はあんまし量が入らなくて…」
「おれそんだけじゃ絶対動けない…」
「ベポは食いすぎ」
シャチくんがベポくんのご飯の量を言う。ベポくんは体が大きいし、食べ過ぎってことはないんだろうけど、1食分でわたしの3食分に近いのではないだろうかとは思う。
「食べれる時に出来るだけ食っとけよ」
「「「あ、キャプテ〜ン!おはよ〜!!」」」
ローくんの声が聞こえたと思った時には食堂にいたみんながすぐに反応していた。
その声に「ああ」と短く視線と共に反応した彼はご飯をトレイに載せてわたしの空いていた隣の席に座った。
「…もしかしてそこ、ローくんの指定席だったりする?」
「?いや?」
もそもそと食べ始めたローくんに聞いてみたけど違うらしい。ずっと空きっぱなしだったからそうかと思ったけど特に理由はなかったのかな?
「てかキャプテンが言えることじゃないって」
「そーそー。キャプテンこそ食べれる時に食べて寝れる時に寝なよ」
「え、もしかしてローくん、寝れるのに寝てないの?」
不眠症とかじゃなく自分の意思で寝てないの?
ローくんは「げ、」とでも言うような顔をして目を逸らした。
やはりこの目の下の隈は睡眠不足でできていて、それも寝れる時に寝てないものなのか。
「昨日はちゃんと寝てたのに……なんで寝ないの?」
「待って、昨日は寝てたの?」
「うん、わた────ングッ」
シャチくんが確認してきたので今朝ペンギンくんに説明したように話そうとするといきなり横から口を塞がれた。
あまりに勢いが良かったせいで後ろに転けるかと思った。
その勢いよく飛んできたのはローくんの手だった。
「お前らさっさと食え。この後こいつに艦での仕事、教えてやれ」
有無を言わさないようにペンギンくんたちに言うと「アイアイ…!」とみんなが返事をして慌ててご飯を食べ始めた。
なんでわざわざわたしの話を遮り口を塞がれまでされたか分からないけど、新米海賊としてはここはやはり早く食べ終わって仕事を教わらなくては、と思い食べるスピードを頑張って早めた。