第2章 出航
------------------------------------------------
「お前、何かあったの?」
「……絶対ローさんに言うなよ」
「お〜」
「……リアのバスタオル姿見ちゃった………」
「ン゛ッ…!」
「言うなよ!?絶対言うなよ!?」
「いっ、わないけど…!何なら羨ましいって思っちまったから同罪じゃねェか…!!」
「……しゃがんでたせいで谷間が見えて…」
「やめろ!これ以上罪を重ねるな!」
------------------------------------------------
医務室に行くと、すでに使うものを準備していたローくんが待ち構えていた。
そこに座れ、とベッドを示される。
このベッドに座って、ローくんに体を拭かれた……ということをまた思い出してしまい、1人焦ったように全身から汗が噴き出す。
いやいやいやいやこれほんとにわたし変態なのでは?!
せっかくシャワーを浴びてスッキリしたのに…!!
「どうした?顔赤いぞ」
「んぇっ?!そう?!シャワーが熱かったかな?!」
「……?温度調節上手くいかなかったか?」
「わわわわわたし暑がりで!」
パタパタと手で顔を仰ぐようにしながら言われた通りにベッドへ座る。
「おい、あまり手首動かすな」
「ご、ごめんなさい…」
軽く諌められつつ、差し出された手に右手からお願いする。
怪我の具合を観察したローくんは右手、左手と改めて消毒し、処置をしていく。
「まだ塞がってないところが多い。細菌が入らないようにまた上から包帯をしておく。緩んだらおれに言え」
「うん、ありがとう」
ロープで擦れた傷は深く皮が向けてジュクジュクになっているところと、軽い擦り傷の所があり、深いところはまだ皮の再生が終わってない。動かしていなくても微かにジンジンとした痛みがあって、手を使いすぎるとその痛みが酷くなる。
実際に手を使うより、指先だけの動きで小さく念力を使う方が痛みはマシだ。