第2章 出航
「支度してから何か手伝えること、手伝ってもいい?シャワーも浴びたいからちょっと遅くなるかもだけど…」
「ん〜?別にいいよ、手伝わなくて」
「迷惑かもしれないけど、お願い。少しでも出来ること増やしたいの」
両手を合わせて懇願すると、ペンギンくんは「まあ何もしないでって言われても他にすることないよな」と笑ってお手伝いの許可をしてくれた。
「あ、ちなみにイッカクちゃんて…」
「イッカクならギリ部屋に戻ってったからまだ部屋で寝てんじゃねェかな?」
「そっか。起こさないようにしよう…」
歯磨きセットとか、各々自分のものは出来るだけ自分のロッカーなどに入れるようにして、共有スペースに物が置きっぱなしにならないようにしているらしい。
だからわたしのもまだ荷解き出来てないというのもあるけど、女部屋のバッグの中のままだ。
「起こしても殴られる訳じゃねェから大丈夫」
「さすがに殴られるって発想はなかったよ…」
ははっ、と笑うペンギンくんに「またあとで、」と手を振って食堂を後にする。
女部屋の扉を出来るだけ静かに開ける。
ベッドにはイッカクちゃんがタンクトップに短パン姿で布団を抱き枕にするようにして寝ていた(せ、セクシー…!)。
横に隣接するように設置してある、まだマットレスも置かれていないわたしが使う予定のベッドに少しはみ出している。
寝具は次の島で買う予定になっているから、それまでイッカクちゃんが「アタシとベッドシェアね」と言ってくれていたけど……これはもうわたしとイッカクちゃん、どっちが抱き枕にするか、されるか、だなあ。
わたしが使う予定のベッド横に置いているバッグを漁り、歯磨きセットを取り出す。
確かタオルとかは共有スペースに置いてあるのを使っていいって言ってたな…。シャワー浴びるけど、出来るだけ濡れないようにしたら傷にも障らないかな?取り替えてもらえるとはいえ、傷口濡らしすぎるの良くないよね…?
イッカクちゃんが起きてないのを確認し、再度静かに扉を開け閉めして部屋を出る。
食堂に行く通路の途中に確か螺旋階段があって、そこを降りればシャワー室に行けたはず。
昨日、ローくんに拭いてもらったけど、出来ればシャワーですっきりしたい……お股も綺麗にしたという分かりやすい認識が欲しいし。