第2章 出航
もちろん、と言うイッカクちゃんにローくんは「一応こいつのことは誘拐ってことにしてるんだがな」と言った。
まあ…誘拐だとしたら普通、荷物を纏めて持っていくなんてこと、出来ないもんね。
イッカクちゃんは「艦内に紙とペンあるからおいで」とわたしの手を引いた。
未だ沈んでいない太陽の光を受け、キラキラと反射する髪が風に揺れながら、イッカクに手を引かれリアが艦内に入っていく。
正直、ペンギンが医務室を訪れたのは助かった。
リアがおれのパーカーを着ている姿を見た時から、体の中から湧き出る感情に制御が出来なくなっていた。
小さい身体にはおれの服は大きく、尻まで隠れていても少しズレれば見えてしまいそうな丈に、捲らないと満足に手も使えない袖。
リアの身体を拭くのも完全に下心だった。
他の男に怖い目に遭わされた後だったことで、より怖がらせる可能性と完全に拒否される可能性もあった。
それでも、他の男に触られた箇所をタオル越しでもおれが上書きをしたかった。
やや強引におれが拭くことを了承させたが……自分で自分の首を締めていることに気付いたのはリアの息が漏れた時だった。
絶対にリアの肌を傷つけないようにかなり力を加減していると、リアがくすぐったがり、小さく息を漏らした。
あの時、自分の下半身に血液が集中するのを感じた。まるで夜の最中のようだと考えてしまったガキ臭い頭に自分でも呆れる。
その後、リアが添える手に誘導されるままに身体を拭いている途中でリアの胸の膨らみや、下乳が薄らと手にのる感触に息を止め、下っ腹に力を込めた。
おれが見ていれば大丈夫と言って、自分で拭きだした時にはそれこそガキのように生脚に釘付けだった。
身長が高いわけでもなく、足が長い訳でもない。しかしリアの足は良い形をしている。太ももから膝、そしてふくらはぎから足首までのラインが良い。初めて自分に足の好みがあることを知った。
その足がクルーたちにまで晒されるのは何となく気に入らない。