第2章 出航
なんでローくんの上裸を見て、わたしの姿を見てなるほど、と納得できるのか分からない。何を読み取ったの……
「勘違いすんな」
「エッ、違うんスか」
「違う」
2人だけでやり取りをして、ローくんはペンギンくんを押し退けるように医務室を出ようとする。
「えっ、ちょっと待って」
「?」
「わ、わたしはどうすれば…!」
「そこにいろ」
ビッ、と指差しで今の場所をさされるが、このままここにいたらわたしの知らないうちに全てが片付いてしまいそうだと思った。
既に大部分がローくん達ハートの海賊団によって収拾されてるのだろうけど、わたしだって当事者(?)なんだからその場にいないと、と漠然と思った。
急いで靴下と靴を履き、ローくんたちの元へ行く。
ローくんと扉の隙間に体をねじ込むようにして廊下へ出ようとすると頭を上から押される。
「うげ、」
「待ってろ」
「やだ!」
押される頭を自分で押し返し反発するが、一向に勝てそうにない。頭を片手でがっしりと掴まれるなんて、やっぱりローくんの手は大きいんだな、と今考えなくてもいいことを考えていると、拮抗していた(多分力加減はされてた)力が崩れた。
反発し合う力がズレたようで、わたしの身体が前のめりになりつつ、なんとか廊下へ出れた。
「わたしの知らない所で知らないまま解決されちゃうのは嫌だもん」
「もんってお前……」
呆れる視線から逃れるように、ペンギンくんの後ろへ隠れる。
「…いや、おれを挟むのは困るんだけど…」
「ペンギンくん、このまま甲板に行こう」
「いや無理無理無理無理!!おれが怒られるって!!!」
ペンギンくんのツナギを後ろから掴み、ローくんとの壁になるようにしながら甲板の方へと後ろ向きに進もうとするけど動いてくれない。
「……リア」
すると、ローくんから名前を呼ばれた。ペンギンくんに隠れることに成功してるわたしからは姿が見えないので、その表情を伺うためにも壁から顔を覗かせるようにペンギンくんの横から顔を出して「なに」と返事をする。
「お前、その格好で出歩くつもりか?」
その格好、とはもちろんこのパーカーにショーツ、靴下と靴を身につけている状態のこと。
仕方ないじゃない。ブラジャーは使い物にならなくなったし、この艦にわたしの服はない。