第2章 出航
一緒のベッドで寝たり、お姫様抱っこされたりしたけど…その時より自分の格好にソワソワしてしまう。上着の裾、めくれてないよね…?わたしに上着を貸してくれたローくんは、上着の下は裸だったようで、初日ぶりに上裸だ…。
ログハウスでの人体回収をベポくんたちに任せたローくんは、シャンブルズでどんどん移動していく。来てくれた時からずっとROOMを張りっぱなしだと思うんだけど…大丈夫なのかな…?
確か、使いすぎは体力を削るんじゃなかったっけ?
山の森を抜け、海に面した崖まで来ると、船が2隻並んでいた。
もちろん片方は黄色い潜水艦で、もうひとつはあの海賊のものだった。
2つの海賊船は足場がかけられ、ハートの海賊団の皆が行き来している。
忙しなく動いていた船員さんはローくんに気付き、手を大きく振る。
「あ、キャプテ〜ン!!」
ペンギンくんもローくんに気づいて声を上げた。
ローくんはまたシャンブルズで艦に降り立つ。
「良かった!リア、確保したんすね〜!」
「ああ。あの船に残ってた奴らは?」
「あそこ」
ペンギンくんが指さした途端、ローくんは抜刀して即座に拘束された海賊数人をバラバラに解体した。その光景はまだ見慣れない。
「ベポたちが戻ってきたらパーツごとに分けて詰めろ。おれは艦内にいる」
「アイアイ!」
ローくんが艦内へと歩き出す直前に、頑張ったな、とペンギンくんがわたしの頭を優しく撫でてくれた。
艦内に入るとそのまま医務室へと連れていかれる。
ベッドへ優しく下ろされ、ローくんはわたしの両手をとる。
「…傷口、綺麗にする」
「ん」
水を張った桶で軽く傷口を洗い、目の細かいガーゼで消毒される。しみるぞ、と言われて息を飲んだけど、思った以上に擦れていたようで、引っ込んでいた涙がまた出てきそうになった。
丁寧な処置をされた両手首にはゴミや菌が入らないように消毒液がついたあて布をして上から包帯を巻かれた。
「…ありがとう、また助けてくれて…」
上着のことにはお礼を言ったけど、助けてもらったことに関してはまだお礼が言えていなかった。それに、ちゃんと命を奪うのはやめてくれた事も。
「助けたんじゃない」
けれどローくんはまた否定した。