第1章 初恋
「キャプテン、この島、3日くらいでログ溜まるって」
「そうか」
島に着いて航海士であるベポと船を降りた。
ペンギンやシャチも一緒だ。
他の船員たちは船番に3人ほどを残し、既に買い出しに散った。
「急がねェと店閉まるんじゃないか?」
「もう夕方だもんな」
ペンギンとシャチが街を見渡しながら話す。
島に着いたのが日が暮れ始める少し前だった。
あと2時間ほどもすれば大体の店は閉まり、開いているのは夜の店だけになるだろう。
「なァ、キャプテン」
ペンギンの声に振り返る。
「なんだ」
「久しぶりに呑みに行こうぜ!!」
「集まれるやつ集まってどっか居酒屋入ろうぜ!!」
「クマ可の所がいいなァ」
大々的にクマ可なんて言ってる所、無ェだろ。とシャチ達に言われ、重く凹むベポを横目に思案する。
確かにこの頃コイツらと飲むことも無かったな。
「買い出しに散った奴らに買い出しが終わったら港に集まるよう伝えて来い。集まったヤツらだけで行くぞ」
おれの言葉を聞いて3人が両手を上げ喜ぶ。
アイアイ〜!といつもの掛け声とともに、3人で手分けして買い出しメンバーがいるであろう方向に散らばって行く。
……集まるまでおれもその辺を回るか。
何か医学本が無いか、本屋を探すか…
特に収穫が無いまま、ポーラータング号が停泊する港へ向かうと船番以外の船員が集まっていた。
そんなに長く町を彷徨いていたつもりは無いが…恐らく呑みに行くと聞いて急いで買い出しを済ませたんだろう。
「キャプテ〜ン!!!船番以外集まったよ〜!」
ベポが両手を振りながら大声で呼んでくる。
それに対して視線だけで反応しながら近づいて行く。
「店、どこにします?」
全員が集まっているところに着くと早々にペンギンが聞いてきた。
「おれ、良さげなとこ見てきた」
シャチが名乗り出るように1歩前へ出る。
「港に近い所でさァ」
あっちの方、と指をさす方向を自然と全員が顔を向ける。
「じゃあそこでいい」
「やりィ!」
シャチの案内で目的の店へ向かう。