第2章 出航
襲われた喫茶店付近であの海賊がどこに、どの方向に向かったかを聞き出し、山に入る。
遠回りをすると言っていたという情報から、だから船がなかったのか、と思い至る。
港にはおれらがいるから誘拐したリアを連れているのがバレたら確実に戦闘になると踏んだのだろう。
山全体にROOMを広げ、スキャンする。
──────いた。
ログハウスがあり、その周りに散り散りに海賊がいる。見張りのつもりか。
1人ずつラジオナイフで切断していき、それぞれのパーツの距離を出来るだけ離し、心臓だけを回収する。聞き込みをした時に袋を持ってないかと聞いたら麻袋を渡してくれた奴がいた。その麻袋に海賊共の心臓だけを突っ込んでいく。
これで動けまい。
ログハウスまでシャンブルズで移動し、扉の左右にいる奴らが声を上げる前にまたラジオナイフで切断する。
心臓を回収し、同じように麻袋に入れる。
いつかもこうやって心臓を集めたな。
ログハウスの扉を開け、中を見渡す。
小さなログハウスは部屋が分けられていないようで左手に台所があり、右手にすぐに探していた人物を見つけた。
ベッドにリアが組み敷かれ、クソ野郎がリアの胸と陰部にそれぞれ触れていた。
片足は他の奴が抑え、ヘッドボードの所に固定されたリアの手を抑えているやつもいる。
おれに気付いたリアは涙を浮かべていた。その片頬は赤く腫れているように見える。
「…殺す」
全員殺す。
持っていた麻袋とリアの位置を変える。
崩れ落ちそうになるその小さな体を抱き抱えるように支える。その際に乱れた衣服の隙間から素肌に触れた。
余計に殺意が沸く。
リアを奴らから1番遠い壁際に座らせ、自分が着ていたパーカーを脱ぎ、リアの前を隠すように肩にかける。
「動くな」
背後でおれが分からないとでも思ったのか、奴らが動いた気配がした。
振り返り、抜刀する。
「誰が動いていいと言った?」
その言葉に船長の男は銃を構え、あとの2人は剣を構える。その手を切り落とし、そこから皮切りにラジオナイフで細切れにする。