第2章 出航
船からイッカクを呼び、おばちゃんの付き添いを頼む。こういう時は男のおれらより、同性のほうがおばちゃんも気が楽だろう。
「そんじゃあ、ローさんに言われたこと、やりますか〜」
「おれ、キャプテン追いかけるよ」
「お〜頼んだ。じゃあおれァ詰めれるものを探すか〜」
3人それぞれ動き出す。
ローさんの方は本当に何も心配することは無い。ただ回収物があるかもしれないってだけだ。
あの海賊共は確実に三下だし、あのローさんの様子だと加減もしないんじゃなかろうか。
両手を使えないように後ろに縄で縛られ、左右それぞれに1人ずつ海賊がつき、指を絡めるように手を握られる。
対象物を動かしたい時にわたしは指先でコントロールするのをイメージしているからそれを先程見破られたのだろう。
この状態では念力でなにか動かそうにも対象が絞れず、自分でも何が動くことになるか分からない。
山の中に入ってしばらくもしないうちに、この山で林業を生業とする人の家が見えた。
海賊たちは剣を振り回し、家に居た人を脅し追い出す。
小さなログハウスに海賊の船長とわたしの左右の手を拘束する2人、そしてわたしの4人が入り、扉の外に2人が残ったようだ。
他の海賊はログハウスの外に散り散りになった。
乱暴にベッドへ転がされる。
なんとか海賊の体勢を崩せないかと暴れてみるも、体格差と力に適わなかった。
左右の手は一旦離される代わりに、パイプベッドのヘッドボード部分に両手を組むように縛り直され、やはり指の自由が効かない。
残る足でわたしを組み敷こうとする船長に蹴りを入れようとすると片足はその船長に掴まれ、もう片方は別の海賊に掴まれる。
そのまま足の間に船長が割り込んでくる。
嫌なことに、シャツワンピースは完全に前を割開かれ、上下の下着は完全に丸見えだ。
「ゲヒ、こりゃあいい眺めだ。女を無理矢理組み敷くのも好きでなァ。目隠しも好きだが、お前は目が綺麗だからなァ」
叫ぼうにも恐怖と嫌悪感で喉が締まったように引き攣った声しか出ない。
それに泣き叫んだところでここはもう山の中だし、街の人を巻き込むのも嫌だ。
無理矢理も好きだという人間相手にそれが正解とも思えない。
ならばひたすら声を出さずに耐えるしかないのだろうか。
けれどそれも嫌だ。