第2章 出航
ベポたちが話しているが、何故知っているかはこの際どうでもいい。
もし本当にその喫茶店にリアがいるとしたら。
わざわざ探し当てる理由の方が重要だ。
あの海賊の頭はリアを気に入っていたとペンギンたちが話していた。
だとしたらリアに執着しているのではないか?
帽子をとられていた…もし、白の一族を知っている海賊だったら?
嫌な予感がする。
「お前らは他のクルーとあの海賊の船を探せ。金銀財宝、食料を奪って船員は拘束しろ。あと詰めれる箱類も集めてあいつらの船に載せておけ」
「「「アイアイ〜!!!」」」
「キャプテンは?」
「おれは───」
言いかけた所で、シャチが声を上げる。
「あれ、走ってくるの酒場のおばちゃんじゃね?!」
見ると、確かに酒場の『女将さん』がこちらに向かって走ってきている。
こっちも向かっていくと、すぐに腕を力強く掴まれた。
「あんた!!!!早く!、はやくリアちゃんを!!!」
その顔は必死の形相だった。只事では無いのがありありと伝わってくる。
「おばちゃん!何があったんだよ!」
囲むようにペンギンたちが聞く。
「リアちゃんが!!昨日の海賊共に連れていかれたんだ!!!」
その言葉を聞いた途端、考えるよりも先にその手を振り払い、轟音がとどろいた方向へ走り出していた。
キャプテンの後ろ姿を見送りつつ、酒場のおばちゃんに詳細を聞く。
「え!じゃあ料理作ってくれてたおっちゃん怪我してんの?!」
「あの海賊共がいなくなってから、お医者さんが治療に来てくれて…動ける人達が病院に運んでくれたから大丈夫なはずよ…。でもリアちゃんが…」
ガタガタとおばちゃんが分かりやすく震えている。
その肩をベポが暖めるように摩る。いや、白クマにさすられるのも一般の人からしたら割と恐怖だろ、と突っ込みたくなる気持ちを抑える。今はそれどころじゃない。
「おれらはやることがあるから、おばちゃんはおっちゃんのとこ行ったげてよ」
ペンギンが言う。
「リアのことはローさんが助けるから心配無ェって」
おれも安心させるように言うと、おばちゃんの震えも少し治まった。