第1章 初恋
「ローくんには目標が、目的があるでしょう?」
「……」
「ソレに関係の無いことで関係の無い場所に、関係の無い人間に拘ってちゃ駄目だよ。絶対に成し遂げたいことなんでしょう?」
この島はただのログポースが指した場所ってだけ。
わたしはローくんにとってただの昔馴染み。
ローくんの目標はドフラミンゴ。目的は『コラさん』が引けなかった引鉄を引くこと。
この場所は、わたしは。ローくんのその目標と目的に関係ない場所で関係ない人間だ。
そんなものに拘ってていい旅路じゃないはず。
わたしの言葉にローくんは目を逸らす。その瞳がなんだか寂しそうに見えた気がした。
「大丈夫だから。わたしだってここまで生きてきたの。ローくんがいない人生を生きてきたんだよ。だから大丈夫」
目を逸らされたお返しに寝転んでなかったら届かないその頭をワシワシと撫でると普通に「やめろ」と怒られた。
おれと、おれたちと一緒に来るか
そう言おうとした。
どうせ住むところを転々とするならば、島々を目指す海賊船はリアの拠点とするには良いのではないか、と。
しかし口からその言葉を出してしまうのは躊躇われた。
両親から受けた生を精一杯生き抜こうとしているリアを明日の生死もわからない海賊に、海賊船に乗せていいのか。
この世は綺麗事じゃ済まないと分かっている彼女にそれでも穢れを見せたくないと思った。
しかし、再会したことでリアが生きていることを知ったことで、自分が知らないところでリアが死んでしまうのは嫌だとも思う。
相反する考えの折衷案が、あのクソ海賊共がこの島を出航するまでハートの海賊団も滞在するというものだった。
だがその考えはリアに一蹴された。
年上だがどこか抜けている、そんな印象を抱くリアだが昔から時折核心をつくような発言をすることがある。
復讐の話をした時も、今も。
綺麗事じゃなければ、理想でもない。
ただ事実を、核心をしっかりと捉えているような。
背中を押してもらえる喜びと、突き放されたような気持ちがそれぞれ奔走しているような───────