第1章 初恋
チャーハンを作る前に洗濯物を洗い、ベランダに干す。
天気が良いから仕事前にはある程度乾くはず。
仕事前には取り込んでおかないと。
手早くチャーハンを作り、新聞を片手にゆっくり食べる。
少し前にローくんが王下七武海になったという知らせがあったけど…
ちなみに暇を潰す本はないけど、新聞に載ったローくんの切り抜き集ならある。
少しだけど捨てるには勿体なく感じてしまって何となく切り抜いて纏めている。
…なんとなくこう…ストーカーのようというか…いやでもファンっていう言い方で留まれる、かな?
チャーハンを食べ終わると仕事前の歯磨きをする。接客業だからね。
使ったフライパンやお皿を洗って、出来るだけ帰ってきて余計疲れた気持ちにならないように部屋を綺麗にしていく。
洗濯物も結構乾いてくれた。Tシャツなんかはすっかり乾いているからこれなら畳んで棚に入れれそう。
仕事は動きやすいようにズボンと、汗ジミが分かりにくいようにタンクトップと薄いシャツを羽織って行く。
汗っかきなのが恥ずかしくて、重ね着が欠かせない。
そして何よりも大事なのは帽子。
わたしの髪は白い。
自分ではあまり目にすることがないけど、日に当たると光を反射させるようにしてキラキラするらしい。
さすがに人の目を潰すほどでは無いけど。
その髪を隠すための帽子。
その帽子を深く被って出来るだけ髪が見えないようにする。
以前は髪を長くして上の方で結んで帽子の中に全部隠せるようにしていたけど、それだと今度は髪が重くて耐えきれなくなり落ちてきたりしてしまっていた。
短くした方が何度も結び直したり、帽子が外れることが少ないことに気付いてからはずっとショートヘアにしている。
仕事中も大将と女将さんに許可を貰って帽子をかぶったまま接客をしている。
深くかぶった帽子は、変わった目の色も人からは見えづらくしてくれる。
外が暗くなってきて、すれ違う人の顔すらもぼやけさせる少し前。
わたしは仕事に行く。
居酒屋は夕方から開店し、夜中の2時頃に閉店する。
1階が居酒屋で2階が大将と女将さんの居住スペースになっていて、開店前から料理の仕込みなどをしている。