第1章 初恋
フレバンスを出てから、わたしと両親はまた新たな島で暮らし始めた。
その新たな島で暮らし始めてすぐにローくんに手紙を書き、手紙のやり取りをした。フレバンスを離れる時に約束したのだ。手紙を毎日書くと。
しかし、いつからか、ローくんから手紙が届かなくなり、最後の手紙は『ラミが珀鉛病になった』だった。
その手紙が届いたのは、フレバンスが政府により閉鎖され、地図から消えたことを知らせる新聞が届いだ後だった。
珀鉛病のせいで、白い町は…フレバンスは消された。
あの頃のわたしには原因や理由も何も分からなかった。
ただただ、ローくんやローくんの家族の安否が心配だった。何度も両親にみんなはどうしたのか、無事なのかを聞いた。
当時は両親がわたしのことを思ってか、『皆殺し』とは言わず、聞かれる度に『わからない』と答え、そして『きっと大丈夫だ』と励ました。
しかしわたしは近所の人が話す中で、フレバンスに住んでいた人達は皆殺しにされたと知った。
知ってからは何日も泣きじゃくって、ローくんからの手紙の束を抱きしめた。
それから十数年経ち、世間を騒がせる海賊として『トラファルガー・ロー』という名と共に、見覚えのある帽子と少し面影が残る顔が載った新聞を手に取ることになった。
あの頃より笑い方が悪どい感じにはなっているけど。
最初は信じられなかったし、今でも少し、実感が湧かない。
きっとこの目で確認するまで半信半疑でいるだろうけど、少しでも分かればいいと思い、新聞が発行された時は必ず目を通すようにしている。
だからわたしにとって海賊は他人事じゃない。
良い海賊悪い海賊がいるのは分かっていても。
唯一、生きているはずのローくんの手掛かりだ。
買い物を済ませて家に帰る頃にはお昼を過ぎていた。
わたしとしてはまだ起きて2時間くらい。
朝食を軽く済ませたから少し小腹が空いてくる。
チャーハンでも作ろうか。
具材さえ切ってしまえばあとは調味料と合わせて炒めればいいだけだから必然と作る頻度が高くなる。
冷凍ご飯があるし……あと割と好きなんだよねぇ。