第1章 初恋
結局ペンギンくん・シャチくん・ベポくん、そしてローくんの4人は閉店まで居た。
ベポくんはペンギンくんとシャチくんほど飲まないのか、寄ってる様子はなく、今日も2人を抱えて店を出る。
ローくんに「シャンブルズしてよ〜」と言っていたけど「どんだけでかいROOM張らせる気だ」と断れられていた。
「キャプテンも今日は早く帰ってこないと。明日もオペでしょ?」
「ああ。分かってる」
ローくんはそのまま3人と帰るかと思いきや、お店に残った。
「え?明日もオペなの?」
「ああ。この町の地主のな。昨日のうちに依頼が来ていた。今日別件で出てたのはその地主と話付けに行ってたんだ」
「へぇ〜…え、何時から?」
「10時」
「…お酒飲んでたけど…大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないように見えるか?」
フッ、と笑うローくんはまあ、大丈夫なんだろう。
なんならわたしだって前日遅くまでお酒を飲んでた人に手術されたのだ。大丈夫でなくてはわたしも困ったことになりかねない。
「まあ…それはいいとして…帰らないの?」
「ああ」
ローくんはそのまま女将さんに声をかける。
「こいつが帰るまで居て良いか?」
こいつ、とわたしが指をさされる。え。
「良いわよ。むしろお願いしたいくらいだわ」
女将さんは二つ返事で了承した。
ローくんはそのままカウンター席に腰掛ける。
「…今日も送り届けてくれるの?」
今日も、と言っても昨日はわたしが強引に家に引き込んだけども。
「ああ。この島にいる間くらいはな」
「…ありがとう」
そう言われると嬉しい反面、あと2日もないくらいにはローくんたちはこの島を出るんだなぁと実感させられる。
片付けを終えて、ローくんには表の出入口から出てもらい、わたしは裏口から出る。
「お待たせ」
「ああ」
昨日とは違い、少し沈黙が多かった。
昨日は本当にわたしは興奮していたんだと思う。話したい気持ちが先走っていたというか…。
「あ、ペンギンくんたちにまた会えるかわかんないから」
「?」
「今日、手伝ってくれてありがとうって、良かったら伝えててくれる?」
「あいつら何かしたのか?」
「うん。荷物運んでくれたの。お店出るの見送ったのに言うの忘れちゃってたから…」
「わかった」
程なくしてアパートに着いた。