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【OP】GIFT

第1章 初恋




何度も今日じゃないと駄目か聞いた。
3日…あと2日ほどはこの島にいるならば、明日でも良いのでは、と。
しかしローくん曰く、海賊にとって『明日』が確実では無いのであれば思い立ったら吉日、と。
確かにその言い分は反論できない。
他の海賊が来て争いになるかもしれないし、海兵が来るかもしれない。
ならば今日。今日しかないと。


分かるんだけど……人生初の手術です、わたし。
やはり心の準備がしたかった……



「何か見た目を隠せる…外套とかあるか?」


着替えが終わり、洗面所から戻ってきたらローくんが言った。


「え?うん、いつも次の島に行く時とかに着てるやつが…」
「じゃあそれも羽織れ」
「??」


言われるがままにバッグから取り出し、袖を通すと、フードまでかぶらされた。



「お前が海賊の船に乗るところを見られるとまずい」



あ、『あんた』から『お前』に変わってる。
大した違いは無いはずなのに、それだけで少し距離が近くなったように感じるのは気のせいかな。


きっとローくんは自分が去った後のわたしの外聞を気にしてくれているんだろうな。
海賊と仲良くする一般人なんてなかなかいない。
どうしたって客と店員、商売での関係だけの方が圧倒的に多い。
そんな中で商売関係なく一般人が海賊船に出入りしていれば噂が広まり、角が立つ可能性がある。
それを危惧してくれてるのだろう。


やっぱり、ローくんは優しい。



大人しくフードをかぶらされたのを見たローくんが「もう準備は終わったか?」と聞く。


「うん。あ、でも艦に上がらせてもらうのに何か菓子折り…」
「要るわけねェ」


ピシャリと言われた。



ぬぅ、と口を一文字に結んでいると、ROOMという単語が聞こえた。
それと同時にサークル状の薄い膜がローくんを中心に広がっていき、ついにはわたしの部屋の外へと広がっていく。



「わぁ、」


その様子に感嘆したのも束の間。
「シャンブルズ」という言葉と共に、次の瞬間には、外にいた。


「す、すごい……!」


驚いて上を見上げると、ローくんがフッ、と笑っていた。
移動するためだろうけど、その腕はわたしの腰に回っていたが、すぐに離された。


「行くぞ」



刀を肩に、ローくんはスタスタと港の方へと歩き始めた。








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