第1章 初恋
ベッドの壁側の方へローくんに寄ってもらう。
ローくんは肩にかけていたバスタオルを外し、寝転んでこちらを向くと少し足を曲げるようにしてベッドから足がはみ出ないようにした。
「わ〜!わたしが寝転んでもこれくらい余裕あるのに!」
手で余白を示すと「変わらずチビだもんな」と言われた。
「わたしは普通だよ。ローくんが伸びすぎ」
ローくんの横に寝転び、枕元にあるリモコンで電気を消す。
タオルケットをローくんのお腹と自分のお腹にかける。
お腹が冷えたら大変。ローくん上裸だし。
寝転んで目を閉じると、泣きすぎて腫れた瞼は重く、その重さを脳が睡魔と勘違いして、だんだんと意識が下へ下へと引っ張られるような感覚がある。
潜る意識の中、こんな風にローくんと、ローくんたちと一緒に寝た記憶が過ぎった。
「昔さあ」
「ん?」
「ローくんが学校の行事でお泊まり会に行ったの、覚えてる?」
「…あったな」
重たい瞼をうっすらと開けて、隣に寝転ぶローくんを見た。
窓から入る月明かりが部屋の中を微かに照らす。
ローくんは下になっている腕で枕を抱え込むようにして、わたしの方を見ていた。
「あの頃のわたし、学校に行けてなかったから、羨ましがってたらローくんが自分のところに来ればいいってお泊まり会をしてくれたよね」
トラファルガー家にお呼ばれして、ローくんやラミちゃんと同じ部屋で寝た。
それぞれベッドがあるのに、わざわざ床にお布団を敷いて3人で並んで寝た。
「そんなこともあったな」
「うん……ラミちゃんが……間がいいって言って……ラミちゃんを挟んで寝たよね……」
話してる途中でどんどん睡魔が襲いかかってくる。
今、自分はちゃんと話せてるだろうか。
そんなことさえも考えては消えていく。
もう次の言葉も浮かばなくなり、掴んでいた意識も手放した時、微かに「おやすみ、」と聞こえた気がした───────