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【OP】GIFT

第1章 初恋




お祭りの日にラミちゃんが珀鉛病を発症したこと。

それからしばらくもしないうちにフレバンスが他の町や国から隔離されたこと。

それが原因で戦争が起きたこと。

そんな中でも、自らも珀鉛病にかかりながらも何とか人々が助かる方法を研究し続けた両親が射殺されたこと。

シスターや同級生の死体も見たこと。

そして、自分が隠れるように指示したラミちゃんがいた病院が、家が燃やされたこと。

死体に隠れるようにしてフレバンスを1人で脱出したこと。

自分も珀鉛病を発症したこと。







あまりにも壮絶すぎる。
大人でも壮絶すぎる出来事を、齢10歳にして経験したなんて。



「何故あんたが泣くんだ」
「え、」


指摘されて指で触れてみる。

話に没頭しすぎて気付いていなかったそれは認識したそばからぼろぼろと零れていく。


「っ、ごめっ、んっ」


こんなにも涙が零れるのは久しぶりすぎて、呼吸の仕方が分からなくなる。
肺が、気道が、自分の思い通りにならず、しゃくり上げた。




堪えようとしても堰き止められていたものが溢れかえるように止まらない。

なんとか両手で拭い去ろうとしていると、手の数が増えていることに気付き顔を上げた。


「っ!」
「ありがとうな」


わたしはいつの間にかローくんの膝の上に座っていた。
そのローくんが帽子をかぶっていないことに気付く。

わたしが座っていたはずの椅子を見ると、そこにはローくんがかぶっていた帽子が鎮座している。


増えた手は、ローくんの手だった。
わたしより大きく角張った手がわたしの目元や頬を擦るように撫でていた。


「両親やラミのことは…もう泣けなくなっていたんだ」
「?」


わたしの顔を撫でていた手は背中に移り、上下させて擦る動きに変わった。


ポツリポツリとさっきよりは感情がこもったようにローくんが話を続ける。


余命の間に出来る限りの破壊を尽くすため、ドフラミンゴという海賊団に入ったこと。

そこで自分を虐めてきた人に珀鉛病を治すためあちこち連れ回されたこと。

その中でその人の優しさを知ったこと。

そして最後は命を賭して自分を守ってくれたこと。








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