第5章 潜水艦と日常
「っと。そろそろ見回り行くか」
「見回り?そういえばさっき言ってたね」
「そ。ランダムに艦内見回って何も起きてないか、侵入者がいないか見回んの。時間をキメてないのは万が一、侵入者がいた場合に見回り時間を特定されてたら隙を突かれるからな」
「なるほど」
今までもしてきただろうにわたしはぐっすり寝れているのかそんな事をしているなんて気づかなかった。
毎日誰かしらが見回りもしてくれてるおかげでぐっすり寝れてるんだなあ。
「リアとおれで行くか」
「了解、シャチくん」
「あ、じゃあシャチさあ、途中リアにキャプテンの部屋寄らせてやって。本忘れてきたんだって」
「あいよ〜」
操舵室にペンギンくんを残し、シャチくんと2人で見回りに出た。
館内は必要最低限の灯り以外は消されており、その必要最低限の灯りもまるで非常灯のように薄暗い。これでは目を凝らして見てもわたしには隅々まで見ることは出来ない。
「見回る所それぞれで電気付けたらいいぜ。無駄に燃料消費する訳にはいかないから人が通らない時とかは暗くしてるだけだから」
「そっか」
「一番はこういう暗がりでも夜目が利くことなんだけど純粋に視力の問題もあったりするからな」
「シャチくんずっとサングラス掛けてるけど見えてるの?」
「お〜バッチリハッキリクッキリよ」
「あははッ」
広告のようにお決まりフレーズのように言うシャチくん。
リズムが良くてそのフレーズが頭に残ってしまいそう。
「おれ食堂でコーヒー淹れとくから、リアはキャプテンのとこ行ってきていいよ」
「ありがとう。行ってくるね」
艦内が寒いからコーヒーを淹れて操舵室に戻ろうと見回り中に話していたわたしたちは食堂で人数分コーヒーを淹れるシャチくん、そして本を取りにローくんの部屋へ行くわたしとで分かれた。
途中でローくんの部屋に寄ることも出来たけど、何せ寒い。ついでに起きてるであろうローくんにコーヒーいるかどうか聞く任務も仰せつかったわたしだ。