第5章 潜水艦と日常
───────本当に、なんなんだこいつは。
おれを男として意識してないのかと思うような行動をしていたかと思うと次には顔を真っ赤にして挙動不審になる。
かと思えば、今度は抱き枕にされたというのに結局先に寝る……
なんなんだ、こいつ。
勝手な想像をしてヌいてから、らしくないとは思うがリアに対して気まずさを覚えてしまい意識しないようにしていたら距離感が分からず、そしてあまり近づいたらまた同じことをしてしまいそうで(いや正確には数回すでにヌいてしまったが)少し接する頻度を減らすようにしていた。
それを『避けてる』と捉えられても仕方ない。
しかしそれを気にしてるとは思っていなかった。遠くから見ていた限りではリア自体は他のクルーとも変わらず接していて元気がないとかそういうのはないように見えた。
……仕方ないだろう。リアはおれのことをただの昔馴染みとしか思っていないだろうがこっちはリアに太腿に手を置かれただけで馬鹿みたいに反応する体になってんだ。距離をとって何が悪い……しかしそれを気にされていたと分かれば単純に嬉しさだって感じる。
自分を気にしていたことが嬉しい。そう見えていなかったから余計に。
感情が見え見えのようで分かりにくいところがある。予想していた考えと違うこともある。そういうリアが次に何を言うか、どういうことをするか楽しみにしている節がある。
腕の中にいるリアに鼻を寄せ好きなように匂いを嗅ぐ───いつでもこの匂いを思い出せるように。
この体の柔らかさも、重さも。
呼吸のリズムや息遣いも。
髪の量や質も。
何もかも目を瞑ってすぐに思い起こせるように。
今眠っているリアをこのまま襲うことも容易だ。その方がおれを男としてしっかりと認識させれる。
しかしそれでは信頼も信用も全てが失われる可能性もある。
もっと明確にリアがおれのことを意識しだして、確実におれに好意を抱いているのが分かるようになるまで。
掴んだままの両手首を撫で、また強く自分の体にリアを押し込むように抱き込み、勃ちかけているものを分かりやすく当てるとリアが身動ぎするように声を漏らした。