第1章 初恋
開いた目をそのままローくんと合わせた。
その瞳は鋭くなく、ただただ驚いていた。
「ごめん、急にこんな話しちゃって」
コーヒーに入れた氷が溶けて消えてしまいそうだ。
出来るだけ簡略的に、それでもゆっくりと話したつもりだったけど、喉がカラカラだ。
潤すように少しずつコーヒーを食道へ流し込む。
「…あんたも、」
「?」
「リアも何か能力があるってことか?」
「うん」
席を立ち、ローくんから離れた場所で手を差し出し、右手の人差し指と中指を合わせ、上へ持ち上げる。
「!」
すると、ローくんの被ったままの帽子が、帽子だけがひとりでに持ち上がる。
「わたしは念力のギフトを授かってる。物に触れなくても動かすことが出来るよ」
念力で持ち上げたローくんの帽子をスーーと自分の頭の上へ引っ張り、念力を解いて自分の頭へと落とした。重力にならい、その帽子はわたしの頭へと被さった。
「わたしの両親、覚えてる?」
椅子へと戻り、手で直接、帽子をローくんの頭へと返す。
「ああ。…髪は白かったな」
「うん。そう。わたしは両親ともギフト持ちだったの。関わる血筋が濃ければ濃いほど生まれる子供の能力は強くなるらしくて…」
片親がギフト持ちの子供よりも、両親ともにギフト持ちの子供の方が能力が強いらしい。
「親の能力がなんであれ、それぞれ授かるギフトには統一性はない。お父さんは動物の言葉がわかる能力、お母さんは眠らせる能力だったよ」
ローくんは静かに聞いてくれている。
「"白の一族"が住む島があったらしいけど、もう親から聞く伝承でしか知らなくて…定かじゃないんだけど…」
自分の目を示す。
「伝承ではなんの能力であれ、この瞳の色を持つ者が産まれたら一族の長にしろと口伝されてるんだって」
「つまり……」
「この瞳の色を持つ者は能力が、影響力が強いって」
自分ではよく分からない。
両親は一族で住んでいた島が無くなる前に一緒に逃げたらしいけど…他の一族は散らばっているだけなのか、他にも生き残りがいるのか分からないし、隠れて生きているから能力も易々とは使えない。
鍛え方次第ではいくらでも能力を高めれるらしいけど、そんなことをして目立ってしまえば、捕まるリスクは高まる。