第4章 日向ぼっこ
やはり起こすのはやめて、まだもう少しこのまま………今度こそ本当に寝てしまおうか。
顔を少し戻してまたリアの顔を見る。
先程より薄く口が開いているのに誘われるように手を伸ばす。
スリ、
下唇を親指でなぞると、リアがハッとしたように起きて自分の手で口元を拭う動きをした。
「ッ!……んん?わたしヨダレ垂らしてた?」
拭ってもそれらしきものが見当たらないようで寝ぼけ眼のまま混乱するリア。
「いや。だが眠いなら部屋で寝ろ。おれも戻る」
上体を元の姿勢に戻すリアと同時に自分の体を起こし、鬼哭を手に取る。
「あ〜、うん……そうしようかな。あ、でもその前にローくんの服、返しに行くね」
「服?」
「パーカーとトレーナー、借りてたのを洗濯したから……本当はもっと早く返せる予定だったんだけど急なスコールでやられちゃって洗い直してたの」
その後、返しに行くタイミング逃しちゃってて、と苦笑いするリア。
「……?立たないのか?」
既におれが膝からどいたからもう立てるはずなのにリアは立ち上がる気配がない。
「…足、麻痺しちゃった……」
あはは、と困ったように笑いながら自分の足を摩る。
……まあ、ほとんど全員と言っていい人数の膝枕をした上に、おれも少し長めに寝転んでいたしな。
「落ち着いてから戻るから、ローくん、先に戻ってて大丈夫だよ。ベポくん、起きて」
そう言いながら足を引き摺るように座った状態から上体を少し捻るようにして、背もたれの役割をしていたベポを揺らす。
しかしそれくらいではベポは起きない。
おーい、と声を掛けるリアの横からベポを強めに叩き、声を張る。
「起きろ!」
「アイアイ!!」
ほとんど条件反射のようにベポが飛び起きた。
「え?痛くないの?」
「ん?あ、なんか左肩が痛いかも」
リアの言葉にベポが左肩を摩る。そこは今し方、おれが強めに叩いたところだ。
リアが「良かったの?あれで、」とでも言うようにおれを見上げる。
それを無視してまだ立ち上がらないリアの脇に両腕を通す。