第3章 上陸
「なっ、なんで、、そういうっ……!」
「?」
なんでそんなことをサラッと言っちゃうのかと言いたかったけど上手く言葉にならなかった。
似合ってるなんて言われることに慣れてないわたしはそれだけで照れてしまうことに自分でも今まで気づかなかった。知らなかった。
それでも昨日はイッカクちゃんと洋服屋さん巡りをして、その中で何回もイッカクちゃんが「可愛い!似合ってる!」と言ってくれていたのに……あれ?慣れてないわけなくない?昨日でだいぶ慣れたのでは?と思い巡らすもその違いは『イッカクちゃんに言われたか』『ローくんに言われたか』しか分からなかった。
そのひとつの違いだけでなんでこうも顔が熱くなるのか。
そうやって一人で熱くなっているうちに、ローくんはさっさとお会計を済ませてしまった。
今日も借りてきていたイッカクちゃんの帽子(イッカクちゃんにはローくんに言われたことを踏まえて、「返すね」と伝えた)をスポンっ!とわたしの頭から取り、早速買ったばかりのキャスケット帽をわたしの頭にかぶせるローくん。
それを整えるともうひとつのバケットハットもわたしに渡してきた。
「ありがとう。買ってくれて。でも本当に良かったの?ひとつ分くらいわたしが払うよ?」
「ンな高ェもんじゃあるまいし。こういう時は有難く受け取っときゃいいんだよ。おれに恥かかせる気か?」
そう言われてしまうとぐうの音も出ない。そういうものか、と再度お礼を言った。
「リア、他に用事あるか?」
「ん?特にないけど……戻ったら借りた本読もうかなって思ってたくらいかな」
「……なら昼飯食いに行くぞ。何が食いたい?」
「一緒に食べてくれるの?う〜んとねぇ〜」
おれの誘いに乗って食べたいものを考え始めるリア。
一緒に食べてくれるの?だと。なんだその言い方は。一緒に昼飯食いに行くだけなのにそれをまるで良い事のように、褒美のように言うリアに思わずほくそ笑むように口角が上がるのをグッと堪える。
「あ、お米。ローくんお米好きなんだよね?」
「ああ」
「じゃあ何かお米使ってるお店ないか探s───もうローくんはお店どこにあるか知ってたりする?」
「いや?」