第3章 上陸
「それじゃあ、今度暖かい海域とか島に行ったらわたしがベポくんの枕になるよ。一緒に日向ぼっこしよう」
「えっ!!いいの!!?」
「うん、もちろん」
パァァァ!と分かりやすくベポくんの顔が輝き出す。
やったー!とはしゃいでいるベポくんをつい笑顔で見ていると、用が終わったのか、ローくんもやってきた。
「?何騒いでんだ?」
「リアと今度日向ぼっこしようって話してて」
「暖かいところでね」
ね〜!と2人で顔を見合せていると、ローくんはふっ、と軽く笑ってわたしに「行くぞ」と声を掛けた。
「少し出かけてくる」
「アイアイ!」
ベポくんに手を振り、タラップへと向かうローくんを追いかけた。
街に出ると早速帽子屋さんに入った。
わたしは昨日のうちにイッカクちゃんと店までは一応来ていたから場所は知っていたけれど、わたしに聞くことも無くローくんは迷わずこのお店へと先導してくれた。
まさか昨日のうちにどこにどのお店があるのか把握していたのかな?だとしたらすごい記憶力だ……。
「色とか形は?」
「へ?あー……特には…あ、でも前被ってたキャスケットみたいなのとかバケットハットとかがいいかな。色はう〜ん……暗めの色かなぁ」
「あるじゃねェか」
わたしの言葉を元にそれらしき帽子がある棚をローくんが見ていく。
途中店員さんに「何かお探しですか?」と聞かれたローくんは「構わなくていい」と店員さんのお手伝いを断った。
「コレとコレ」
「う〜ん……こっちかな」
差し出された紺色のキャスケット帽とバケットハット。前はキャスケット帽だったし、気分転換にバケットハットにしようとそちらを指さすと「両方買う」と言われた。
「1つで大丈夫だよ」
「また失くすかもしれねェだろ。イッカクだって数個持ってんだ。リアも持っとけ」
「それだと帽子の形変えたら『わたし』って分かりにくいんじゃない?」
クルーそれぞれの帽子や被り物の話をしたんだし、あれはそれぞれが固定した帽子類をかぶってるから目印になるっていうことだったのでは?と疑問を投げかけると、
「どっちも似合ってるから両方買う」
と真顔で言われた。
その瞬間、ぶわっと顔が熱くなった。