第3章 上陸
「ランジェリーパーティーしよ」
「へ?!」
ランジェリーパーティー?!聞いたことないよ!
「パジャマパーティーってのがあるらしいんだけどさ、でもそれだと普通じゃん?だから女だけでランジェリーとか着て女子トークなんてのはどう?」
「どうって……」
パジャマパーティーすら知らない。何するの?と首を傾げると、「まあ、わたしもよく知らないけどお菓子やらお酒やら飲み食いしながら喋るんじゃない?」とイッカクちゃんが言った。
楽しそうではあるけど……ランジェリーなんてましてやベビードールなんて着たことないし、いくら女同士でも恥ずかしさがある。
わたしがうんうん悩んでいるとわたしより身長があるイッカクちゃんが少し身を屈ませるようにして顔をのぞきこんできて、上目遣いで「ダメ?」と聞いてくるもんだからあまりの可愛い仕草に「…する。パーティーする」と答えてしまった。
「やった!」と喜んだイッカクちゃんはすぐにランジェリーを選び始めた。
……恥ずかしさはあるけど、こういう機会がないと着なかったかもしれないものを着ると思うとちょっぴりワクワクしてきた。
「はあ〜買った買った!」
「うん、ほんとに……」
リストを元に、リスト以外のものも買いながら街を散策し、艦に戻る頃にはわたしたちは両手いっぱいに買い物袋を提げていた。
「ランジェリーパーティーは暖かい気候のとこでしよっか」
「そうだね……ここは寒そうだし、艦が潜ってる時も寒いし……」
潜ってる深さにもよるけれど、艦が潜水してる間はなかなか気温が上がらず寒いことが多い。
「お?お二人さ〜ん。いっぱい買い込んでんね」
後ろからの声に振り返ると、ペンギンくんがわたしたちに向かって手を振っていた。その隣にはシャチくんもいる。ベポくんはこの辺りの海図を探したあとは船番を交代すると言っていたから今はもう艦にいるはず。
「艦戻んの?」
「うん。もう両手いっぱいだし、買ったものを整理したいし」
「おれらも戻ろうと思ってたから一緒に持つよ」とわたしとイッカクちゃんの手からペンギンくんとシャチくんがそれぞれ荷物を引き取ってくれる。