第3章 上陸
そう考え出した途端、さっきまでよりもカアーッと身体が熱くなっていく。
「え、でもおれ何ともないけど」
「耐性の問題だ。恐らくこの街で普通に売られてるくらいの物だから入ってる量はかなり微量だろう。シャチやおれは昔からいろんな薬を試してるからある程度毒でも薬でも耐性がある。けどリアはその耐性がないって考えるのが妥当だろうな」
わたしに耐性がないのはまあ理解出来るんだけど、なんでローくんはその成分が入ってることがわかったんだろうか。微量だとも言っているのに……それも試したことがあってその味を感じ取ったのかな?というか味なんてあるものなの?
グルグルと頭を巡る考えも出ては消え、出ては消え……を繰り返し何を考えているのか、むしろ考えていないのかも分からなくなってきた。
「おい、大丈夫か?」
トン、と軽くローくんの冷たい手が頬に当たり、その冷たさが気持ちよくて無意識にその手に顔を擦り寄せた。
「!」
「ん、…つめたくて、きもちい、」
しっかり持っているつもりなのに食べかけの肉まんが手から零れおちそうになるのをシャチくんがキャッチしてくれた。
「あー……っと、残り、おれが食べてもいい?」
「、ん、おねがい……たべかけで、ごめん」
「いや、それは別に全然いいんだけど。おれイッカクに伝えてくるからキャプテン、リアよろしく」
「……ああ。少ししたら治まるだろうからこの辺にいる。イッカクのほうが終わったらここら辺に来るよう伝えといてくれ」
「アイアイ」
シャチくんが返事をして去ると同時にローくんがわたしの肩を抱くようにして路地裏へ入る。その時に触られただけでわたしから漏れた声は自分から出たとは思えないほど甘ったるい鼻にかかった声な気がした。
ちょうどよく木箱があり、そこにわたしを座らせてくれた。
「ごめん……迷惑かけてる……」
「いや、」
「少ししたら治まるなら、ローくん、街見てきて大丈夫だよ。まだ途中でしょ?わたし、ここにいるから……」
「その状態でひとりにさせれるかよ」
「え?」
ボソッと言った言葉は聞き取れなかったけれど、動かない様子から「ああ、居てくれるのかな……?」と都合よく解釈した。