第3章 上陸
島の港に艦をつけ、船番のクルーを残してみんなが降りていく。
今日はわたしの『これから』のために必要なものを買わないといけないから、わたしの船番はない。
次の島に着く頃には任せるかもね、とイッカクちゃんたちが言っていたから今日だけじゃなくこの島での船番はなさそう。
この島の港は割と大きいようで、ラダーではなく簡易的なタラップを下ろせたことは幸いだった。
荷物が運びやすい。
「ごめんね、シャチくんも街をまわりたいだろうに……」
「リアと回れるんだから役得だって。それに布団とか見ながらおれも見たいとこ寄らせてもらうし」
「そっか。じゃあ、よろしくお願いします」
「任せとけ」
タラップを降りながらシャチくんと話す。
イッカクちゃんやジャンバールさんたちが換金に行く間に寝具を買うことになり(服類はイッカクちゃんが「リアと一緒に見たいの!」と言ってくれた)、アドバイザー兼荷物持ちとしてシャチくんが一緒に来てくれることになった。
「リア、これうまそうじゃね」
「ほんとだ」
寝具が売ってそうなお店を探す道の途中にある食べ物屋さんや雑貨屋さんに2人とも目を奪われながら、そして途中買い食いもしながら街を回る。
「お、ここ」
シャチくんが先に寝具を売っているお店に気付き、中に入る。さりげなく、しかし当たり前のようにわたしが入りやすいように扉を押さえてくれる。
「マットレスと掛け布団とシーツと……」
買い物リストを見ながら何を買うかシャチくんに伝える。
するとすぐに「これと…これ…」と見つけていってくれる。しかもその都度わたしの好みの硬さや柔らかさを確認してくれる。
「おれが持つよ」
「マットレス持ってくれるだけで十分だよ」
「いや、持てるって」
お会計をしながらそんなやり取りをする。マットレスは折り畳めない上に結構重たい。そして何より嵩張る。そんなマットレスを持ってくれるだけでも充分助かるのに、シャチくんはシーツや掛け布団とかまで持ってくれようとする。どんな腕をしているの。
「全部持ってもらうなんて忍びないし、こんな嵩張るんだから分けっこしようよ。ね?」
「ちぇっ、カッコイイとこ見せようと思ったのに」
「あら、シャチくんはいつでもカッコイイよ」
「…………そういうとこォ!」
「?」