第3章 上陸
「…ベポくん、抱きついてもいい?」
「えっ?べつに良いけど…なんで?」
「ちょっと寒くて……ベポくん暖かそう……」
「アイアイ」
ベポくんは両手を広げてくれる。遠慮なく抱きつくと思ったより暖かくなかった。
「あ〜服が冷たいよ〜体温を感じない、、、」
「そんな死んでるみたいな……」
「ベポ、ギュッてしてやりな。すぐにあったまるでしょ」
イッカクちゃんのアドバイスでベポくんが抱きつくわたしをギュッと隙間なく抱きしめてくれた。
冷たい風が遮られ、徐々に冷たかったベポくんの服が暖かくなってくる。
「んふふ、あったかくなってきた〜」
豊富な毛を触れないのは残念だけど、やっぱりわたしたちよりミンク族は体温が高いのかな。
「あ!!!ベポがリアを抱きしめてる!!!」
「ずりィぞ!!!」
「かわれ!!!」
ぞろぞろと甲板にクルーが出てくる。
これはベポくん取り合い合戦かもしれないなあ。
「ベポくん人気だねえ」
「え?おれじゃないと思うけど」
「うん??」
尚もぎゅう〜と抱きついていると周りに皆が集まってきて、隣にいたイッカクちゃんも含め、ぎゅうぎゅうに重なり合っていく。
「く、苦しい、、」
「リアが潰れる〜!」
「いや、ベポが潰してんだろ!」
「あったけ〜」
「やめろ、近い!」
ワイワイとおしくらまんじゅうのようにしていると「何してんだ」と呆れた声が聞こえた。
「「「キャプテンもおいで!!!!」」」と一斉に言って迎え入れるようにローくんに向けておしくらまんじゅうが開かれる。
わたしも迎え入れるようにベポくんに抱きついたまま片手を広げると、じっとローくんに見られた。
「あったかいよ!」と誘うと皆の間を通り、ベポくんの所まで来て、もふっ、と抱きついた。
それを一瞬で皆がまた取り囲むように重なり合う。
そのまま、またワイワイしていると誰かが「あ!島!着いた!」と言っておしくらまんじゅうが解散された。寒、、、。