第3章 上陸
「ローくんはいつも新しい島に着いたら何するの?」
着替え終わり、畳んだ外套を膝掛けのように置き直し、熱そうに珈琲を口に運ぶリアが言う。
「……大体本屋に行く」
ある程度栄えている島では本屋に行き医学書を探すことが多い。
それ以外だと部屋にこもっているか、適当に島内を散策しているか。
時間を気にせず歩き回っているとクルーの誰かが「探したよキャプテン!!」と駆け寄ってくることもある。
「あはは、予想通りだ。なんとなくローくんなら医療関係の本でも探しに行くかな〜って思ってたんだ」
「お前も来るか?」
「え?お誘いしてくれるの?」
「…そういうわけじゃねェ」
「ふふ、時間あったらローくんとも一緒に回りたいな」
「も?」
「うん。イッカクちゃんがね、用が終わったら合流して一緒に服とか見て回ろって言ってくれてるの。だからイッカクちゃんと合流する前にシャチくんとお布団買いに行く予定なの」
シャチくん、荷物持ちしてくれるって、と笑顔で話す。
リアのオペをするために艦に連れてきた時にも感じたが、こいつ打ち解けるの早くないか?
「随分仲良くなったものだな」
「みんなローくんのこと大好きだから、多分わたしのローくんの昔馴染みステータスが働いてるんじゃないかな?だからみんなと仲良く出来てるの、ローくんのおかげだね」
「フッ、なんだそれ」
いつの間に珈琲を飲み終わったのか、リアは立ち上がり「それじゃあ、お邪魔しました」と言って部屋を出ようとして扉を開けてから振り返り、「服、ありがとね」と言って扉を閉めた。
「あ、島見えてきた」
そろそろ島が近いということで潜水したり浮上したりしていたハートの海賊団の潜水艦は今、浮上していた。
冷たい風がモロに顔に当たる。
ローくんに服を貸してもらって良かった……さ、寒い……。
「リア〜、大丈夫?寒くない?」と言いながら、ベポくんとイッカクちゃんも甲板に出てきて、イッカクちゃんが「これ、かぶっときな」とイッカクちゃんがいつもかぶっている帽子の色違いを頭にかぶせてくれた。
「お揃いだ〜」
「似合ってるよ」
さらりと褒めてくれるイッカクちゃん、かっこいい……!