• テキストサイズ

【OP】GIFT

第3章 上陸





本を読みながら飲んでいた珈琲がそろそろ無くなる、というタイミングでリアの声が聞こえた。
扉を開け、リアの手には珈琲カップが2つ。ペンギンから預かったという言葉に「さすがだな」と1人心の中で呟いた。

珈琲カップを2つ持っているということはてっきりリアも飲んでいくのかと思ったがどうやら違うらしい。
違うと言いつつ、居座ることにしたリアを見て無意識に口元が緩む。

……それにしても何故外套を着てる?
島を出る時に着ると言っていたことを思い出して、外套姿に落ち着かない気分になる。

聞けば「他に暖かい服がない」とのこと。
次の島でリアのものを買う予定ではあるが、それよりも先に気候が変わってしまった。

他のクルーに服を借りさせるよりも自分のを渡した方が早いと思いクローゼットを開けるが、保温性のある上着はどれもハートの海賊団のマークが入っていて、これを着せて島に上陸し、その島の中を回らせるのは危惧している『ハートの海賊団所属』の触れ込みが出回る可能性が高くなる。

結局、マークがない服で一番暖かいであろうトレーナーを渡すことにした。

まさかその場で着替えだすとは思わなかった。本人的には今自分が着ている物の上から着るだけ、だと思っているのだろうが、こっちとしては着替える際に見えた白く柔らかそうな腹が頭から離れない。

暖かさに喜ぶ姿を観ていると新しい服なんざ買わさずにずっと自分が着ているものを着せたくなってくる。
男物の服を着せて、その所有者である自分が離れず行動するようにすれば変な虫をつかせることなくリアを島に出歩かせれるのでは、と。
今のところは考えるだけに留めておく。

前に貸したパーカーも別にすぐに返してもらわないと困る訳でもないし、むしろ洗って返さないといけないと気に病むくらいならばいっそのことそのまま返してくれて良い、と思っているのだが何故か全力で断られた。
まさかおれがリアが着たあとのパーカーの匂いを嗅ぐとでも思われてるのか?
んなもん、許可取らずに今すぐにでも嗅いでやろうか。
……これも警戒されたくないからやらないが。




/ 157ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp