• テキストサイズ

《ハマトラ》Hikari-ヒカリ-

第7章 この世の良さ


*******************

コンコン

「どうぞ」

ドアの向こう側でくぐもったヒカリの声が聞こえた。ドアを横に引き、中に入る。白い病人ようの服を着たヒカリが笑顔で迎えてくれた。

「ムラサキさんっ」

「どうだ?具合は?」

「はい、もうすっかり元気ですっレシオさんのお陰ですね」

ベットの脇になるパイプ椅子に座り、見舞い用に買ってきた果物のバスケットを棚に置く。

「全く…心配かけさせやがって」

「すいません…でも、そうしなきゃならなかったんですよ、それにあの教師も私が死んだことで希望がなくなったんですから」

「結果オーライってことか」

「そう言うことです」

考えて行動してるんだかしてないんだか。そこでヒカリにあの質問をしてみた。

「なあ、あの時、ヒカリは完璧に貫かれてたのに何故、傷口が貫通してなかったんだ?」

「…多分、皆のお陰なんです」

「皆?」

「私の血液、筋肉、皮膚、細胞が私の為に集まって修復してくれたんだと思います」

「そんな事が…」

「あれだけ力があったんですから、可能かもしれませんよ」

あれはヒカリのミニマムで修復されていたものだったのだ。

「それより、皆は来てないんですか?」

「…俺だけじゃ物足りないのか?」

「い、いえ!そう言うつもりじゃ…」

「冗談だ、他の奴らは後で来る…俺が先に来たのはヒカリに伝えたい事があったからだ」

「伝えたい事?」

そう、その為にわざわざ早く足を運んだ。ずっと言えずに胸の内に潜ませていた言葉。ヒカリの手をそっと掴み、言った。

「ヒカリ…お前が好きだ」

「!?」

びっくりしたように目を丸めるヒカリ。だったが、みるみる顔を赤くして俯く。

「わ、私もずっと言おうって思ってたんです…私も好きです、ムラサキさんが」

初めて芽生えた感情。静まり返った空間が数分続く。

「ヒカリー!お見舞いに来た!」

「は、はじめちゃん!」

沈黙はすぐ、はじめとナイスによって破られた。手に沢山のハンバーガーを持って。

「よっヒカリ、元気か?」

「うん、二人共、ありがとう」

「ハンバーガー食べて早く退院してね」

「う、うん、ありがとう」

沢山のハンバーガーをベットに乗せ始めた。流石のヒカリも笑顔がひきつっている。
/ 79ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp